こんにちは。TWOTONE取締役の岩城です。普段はアートディレクターとしてプロジェクトの統括をしたりしなかったりしています。そんな私ですが11月の終わりに40歳を迎えます。20歳頃からはじめたデザイナーの職ですが、かれこれもう20年になろうとしています。TWOTONEは比較的若い年代のスタッフも多く、XXXとかやっとくといいよ、などのアドバイスはするのですがまあ大概しないので、もうそういうおっさんの戯言を聞き入れられることは無いのだなあという事を踏まえ、このページにしたためることを最後として、呑んだりしても二度とアドバイスをよこすことはやめようと思います。自分の体験をもとにしつつ、説教にならないように書いてみようと思います。

20代のデザイナーが心がけるべき8のこと

1 効果的にしよう

昼夜問わず寝食忘れ我武者羅に仕事をすることが評価される時代はもう終わったと思っています。最短距離を、最速で駆け抜ける事を考えましょう。「効率よく」という言葉もありますが、デザインは決して効率を優先してはいけません。アレコレ迷って、いろいろスタディして、さんざん迷って遠回りするのは最もデザインを良いものにするための近道です。ちょっと何言ってるかわからないかもしれませんが遠回りが近道なのです。その時は時間をかけることになりますが、同じ道は2回目からはもっと早く行けるはずです。車輪の再発明ではありませんが、同じことをするのに時間を費やすのは全くの無駄です。ただ、間違えやすいのは同じ道だと錯覚すること。実は全然ちがうアプローチが必要なものなのに、サッサと終わらせてしまって、違う、とダメ出しされたこと、身に覚えがありませんか?なんとも繊細な部分なので言葉で表現するのは困難ですが、今向き合っていることが以前と同じ解法で解くべきなのか違うアプローチをするべきなのかを掴むのは、センスの要ることだと思います。仕事の上手い人はそういうセンスというか嗅覚というかが優れているように思います。

2 自分に望まれることをしよう

ときに、自分が望むことと、まわりから望まれることが違ってくることがあります。自分はこういうことがやりたいのに、周りからは違う事をやってみろと薦められる。悩ましいことだとは思いますが、おおいに望まれるほうに足を踏み出してみましょう。あなたが思っているよりも、周りには本当のあなたが見えています。嫌だと突き返して、自分のやりたいことだけをやるのもいいかもしれません。でも、それはちょっともったいないように思います。自分が見えている視野だけで勝負するにはまだそんなにその視野は広くないのです。踏み出して、だめならだめで戻ればいいだけです。まだまだ時間は充分にあります。自分の思わぬ可能性にもちょっと賭けてみてください。

3 工夫しよう

そのタスク、プロジェクト、役割はなぜあなたに託されたのでしょう? 他のスタッフにもできる仕事を完成形としないように心がけましょう。まずは職場の他の誰にもできない、自分だけにしかできない表現、工夫を足しましょう。そして表現を深く、広くすることを意識しましょう。まずは職場の他の誰もできないことができればそこがまずあなたの戦地です。そこを軸にどんどん領地を広げていきましょう。

4 快活でいよう

少なくとも現代のコミュニケーションデザイン業界の仕事においては、デザイナーが単独で仕事を完遂することは無いと言っても過言ではありません。複数人がチームとして動くのが通常の姿です。チームで仕事を進めるには人と人の間で発生するエラーをいかに少なくできるかが大事です。あのタスク、どうなってたっけ?誰がやるんだっけ?など、タスクがこぼれ落ちること、経験にあるはずです。それを防ぐのはコミュニケーションしかありません。仕事の時間の中でもっとコミュニケーションの時間を増やさなければいけません。コミュニケーションが苦手な人もいるでしょう。むしろコミュニケーションしなくて良いと思ってデザインの職を目指した、という方すらいるかもしれません。残念なお知らせです。デザインの仕事はコミュニケーションの仕事です。人とうまくコミュニケーションできないと仕事になりません。今頑張っておきましょう。苦手なまま放置するとさらにこじらせます。コミュニケーションをこじらせた30代、40代になりたいですか? どうコミュニケーションしてよいかわからない、という相談を受けることもあります。身の回りにそういうのが上手な人がいると思います。まずはその人を真似てみましょう。挨拶の仕方1つからでも真似はできます。

5 フットワークは軽くしよう

人と合う機会を増やしましょう。友人、先輩、同僚、後輩、色んな人といろんな場所に行ってみましょう。そこで会った人といろいろ話をしましょう。機会そのものを増やしましょう。大人になると大概が「仕事のつながりの人」で、友と呼べる人間関係は増えづらいものですが、それでも会わないでいたら何も生まれません。今は合う人のほとんどが目上の人かもしれません。ただ、どんどん歳を重ねていくとそれが同年代になり、やがては合う人の多くが年下になっていきます。幅広い年代の人とつながることは幅広い視点、価値観を体験できます。それはきっと自分の仕事に活かされるはずです。

6 時間を管理しよう

よく聞く話ですが、時間はこの世界に生けるもの全てに等しく与えられています。こんなに等しく与えられているのは時間だけかもしれません。みんな顔も性格も容姿も違うのに、時間だけはまったく一緒のものが与えられています。自分のやりたいこと、やらなければいけないことを洗い出して、24時間のパズルに埋めていってみましょう。もし隙間があれば、それは積極的に埋めていきましょう。

7 体を大事にしよう

たくさん働くことは良いことかもしれませんが、ちゃんと休息することはもっと大事です。私達の仕事は、基本的に365日頭を働かせて業務にあたります。無論、365日出社するわけではありませんよ。実際に仕事をするときに、体が、頭が、ちゃんと動くことが大事です。私たちはプロフェッショナルとして業務にあたります。私たちは業務に当たる日のために休日を過ごす必要があります。休日に何をしてもいいわけではないことを自覚しましょう。こういうこというと「休日まで仕事を強制する気か!」的な批判がありそうですが、そういうことではありません。シンプルな事です。仕事をする日にちゃんと仕事ができるように調整しましょうね、ということです。翌日、頭脳を明快に働かせるために、必要な時間を確実に休息しましょう。人によっては4時間寝れば良い人もいますし、8時間必要な人もいると思います。自分が必要な分は自分で確保することがプロとしての務めであって、それが務まってはじめてプロとして仕事になって、給料になることを意識しましょう。

8 デザインのために時間を費やそう

考えてもみてください。20代のあなたは、実は一番デザインに時間を費やすことができる年代です。30代をすぎるとやれ結婚だ、子供だ、親だ、体だ、ポジションだで、いろいろなことに襲われます。どんどんデザインに費やせる時間が短くなっていきます。もちろん30歳40歳になってもデザインに時間は費やせますが、それ以外のことに費やさなければいけない時間がどんどん多くなってきます。限りある時間の中で多くのことを処理することが求められます。そうなったときの武器は「あの時あれだけやったからこそわかる事」です。視野の広さです。20代のうちにサボると、とんでもなくサブい30代を迎えることになります。視野も狭く、判断力も鈍い、手も遅い、そんな30歳を迎えたくはないはずです。

おわりに

長々と書いてしまいました。要約すると「励め」になるのですが、20代のデザイナーは励み方がわからずにただ刀を振り回すだけの戦い方をしている人が多いように思います。まず自分の得意な戦法を見つけて、それを極めながら、得意な戦地を自分のものにして、そこから領土を広げながら味方を多くしていく。昔も今も変わりませんね。戦国っぽいたとえが多いのはキングダムとか真田丸とかの影響ですがそんなに無理は無いはずです。限りある時間ですが、めいっぱいつかってデザイナーとして花開いてほしい、という願いです。では、素敵なデザイナーライフをお過ごしください。岩城でした。