デザイナーがスランプになった時に考えてみるといいかもしれないこと。2015年8月17日
ぼくはデザイン事務所で5年ほど働いている人間です。
恥ずかしながらここ1年ぐらいの間、ぼくは長いスランプを経験していました。
つらい時間でした。最近やっと気持ちが晴れて、ほっとしてます。同じ様な悩みの方に効くかもなので書いてみます。
結論を先に言ってしまうと「ハッピーをつくる」ってのを考え始めてからいろいろなことがうまく回り始めました。
残念ながら、馬鹿っぽい結論なのが悔しくてたまりません。でもこの言葉は万能なんです。
不思議なことに僕の場合良いものを作ろうとしてどんどんアンハッピーなものを作る方向に進んでいきました。
良いもの。崇高なもの。評価されるものを作る為に素晴らしいデザインをする。一見すると自然、なのでそれを目標にしてデザインしてました。
つまりデザインの目標が「素晴らしいもの作り」になっていたのでした。これは、とっても危険な目標なようでした。
たぶん、素晴らしさとは立場によって変わったり案件によっても変わる、とっても曖昧なものさしなのかもしれません。
スランプの時期、ぼくは素晴らしさを求め続けてあらゆる面のレベル上げにいそしみました。
ある時はクライアントへ貢献することだけに集中したり。ある時は最新性を意識したり。ある時は自分の個性を信じたり。わかり易さばかりを追求したり。
どれも素晴らしいとされていることです。実際、素晴らしい仕事はそれらをクリアしてるのが前提みたいな所があります。
でも駄目でした。素晴らしくなる方法を寄せ集めても、相変わらずパッとしないのです。やってる筈なのにな、と不思議でたまりませんでした。
今ではなんとなくわかります。デリケートな部分で毎回毎回ズレていたんですね。
その先に辿り着いた目標が「ハッピーをつくる」なのでした。ハッピーとはあらゆる意味でいい、という感覚です。
ハッピーは、別に明るいほんわかしたトンマナのことを指してるわけじゃありません。
色んな人の意見を立てて自分がいいと思ってないものを世に出す感覚でもありません。またその逆でもありません。
クライアントもチームもユーザーも自分も。みないいなと思えた、そんな感覚。後から振り返っていい思い出になっているような。
当たり前なことのようでスランプに陥っている時は、その感覚を忘れて、無鉄砲なデザインをしてしまいがちです。
もしくは、素晴らしさのテンプレートから出してきたようなデザインや、愛を感じないデザイン。
「ハッピー」を意識してからはアイディアが枯渇する感覚が消えました。案件ごとに、ハッピーな場所が違うからです。
また、多少挑戦的な提案でもすんなり通ることが増えました。おそらく、ハッピーを起点としてるから、理解しやすく納得できるんだと思います。
まずは、目の前の仕事にとってのハッピーは何かを考えるのがいいんだと思います。
ハッピーって書けば書くほどに馬鹿っぽさが増すなぁ。でも、結構いいと思うので試してみてください。西田セルジオ